どんなケアが必要なのか
おさえておきたい認知症ケアの基本
見守りと観察のケア
「見守り・観察ケア」は日常生活を遮ることなく、目で確認できる範囲で行動を観察し現状を把握することです。日常生活を見守ることで身体の不調にいち早く気付くことができ、周辺症状が起こる時間帯や原因・環境などを予測できるようになります。
健康管理のケア
認知症の人は自身の不調や不具合を言葉では十分に表現できません。さらに健康管理についてもあまり意識していないため、本人の代わりにケアをする人が健康管理を意識しておく必要があります。
健康状態は既往歴や検査データ、食事や水分の摂取状況、排泄状況、顔色や皮膚の状態などを確認しどのような様子かを判断しますが、服薬や日常生活についても把握しておかなければなりません。「いつもと違う」「おかしい」と思ったらすぐに医療チームに連絡して状態を確認してもらいましょう。
興味や関心を探るケア
今ある能力を把握し、できることは何かを理解した上で興味や関心を探ることも認知症ケアのひとつです。普段の生活から探ることはもちろん、新しいことにもチャレンジして興味を持つかどうか調べてみましょう。
気分転換のケア
気分転換のケアは新しい情報を提供したりアドバイスしたりして、執着している感情を他にそらすことです。具体的には声かけのタイミングや調子を変えたり、おやつや食事などに誘導して場所を変えたり、関心や興味があることを利用したりなど、気分が切り替わるように促します。
チームケア
認知症のケアは1人ではできません。「迷惑をかけられない」「私がやらなければ」と思ってしまうと共倒れになってしまう可能性があります。1人で頑張らずにチームメンバーに頼りましょう。
まずは、自分の「できること」「できないこと」を知り、限界値を明確にします。それからメンバーの能力を把握し、自分ができないことや相手ができないことを確認し、お互いに足りない部分を補いながらケアしていきます。
家族へのケア
認知症ケアは認知症の人だけをケアすればいいのではありません。家族を支えることも大事なケアです。少子高齢化社会の今は以前と比べて家族の形が変化しています。遠方に住んでいる場合は家族が介護を担うことはできません。その場合は施設に入所して、職員に介護をお願いすることになりますが、他人に任せることに対する罪悪感などで自分を責める人も少なくありません。反対に、施設に任せたまま面会にこない家族もいます。
施設に入所する経緯はそれぞれ違うため抱く思いが違うのも当たり前のことですが、「大事な家族を他人に預ける」のは大きな決断です。家族関係や葛藤などを理解し、支えていくことも大切なケアです。