ひとりひとりが違う人間であることを尊重する

人権侵害や虐待はあってはならない


人権侵害や虐待が問題になることも

人権侵害や虐待が問題になることも

1998年に「抑制廃止福岡宣言」が採択されたことにより、厚生労働省では介護保険の施設運営基準の中に「身体拘束のおける禁止規定」を告示しました。これを受けて、介護の現場でも拘束禁止における管理や技術に徹底的に取り組むようになりましたが、身体のずり落ち防止のための安全ベルトを装着したり、胃ろうやチューブを抜かないためにミトンをはめたりなど人権侵害のように思われる行為が存在しているのも事実です。
また、介護の現場では高齢者の虐待も問題になっています。厚生労働省が2006年に行った全国調査によると、家庭内の虐待が1万2,575件、施設内の虐待が53件確認されました。家庭内における虐待は長年に渡る介護に疲れ果てたり、一生懸命に介護するあまり追い詰められたり、と介護する側が限界になってしまうだけではなく、経済問題や家族関係の問題、などさまざまな要因によって引き起こされると考えられています。その一方で、虐待する側に何らかの認知症の症状が見られたケースもあります。虐待を防ぐには介護の負担を減らすことが先決ですが、そのためには認知症について正しく理解し、ケアのポイントをおさえておくことが大切です。
さらに、「認知症の人は一般の人と違うから同じことができなくて当たり前」と決めつけてしまう人もいます。行動を制限したり、プライバシーを守らなかったりと人権侵害にあたる行為を行っている介護従事者もいますが、これは「認知症でも、発症していない人と同じように生活していく権利がある」というノーマライゼーションを理解していないからです。

固有の存在として見る

認知症の症状は1人ひとり異なっているにもかかわらず、「認知症に見られる典型的な症状だ」とすべてひとまとめにして見てしまう傾向があります。本人の性格やこれまでの人生で経験してきたことが違えば持っている価値観や期待、要求が異なるのは当たり前のことです。固有の存在として個別に対応していきましょう。

接し方

性格や価値観、これまでの経験や持っている知識などで接し方に違いはありますが、認知症を発症していても、していなくても、同じ1人の人間です。「認知症の人」と接するのではなく、「1人の高齢者」として感情をこめて接することが大切です。相手に関心を持ち、思いやりを持って接していきましょう。
また、普遍化した対応になってしまうのは認知症について知識がないからです。知識が増えれば行動や言動をより理解できるようになりますし、専門的なスキルが高まれば安心してケアもできます。認知症の人が自身の介護を安心して任せられるように、知識とスキルを常に磨いておきましょう。

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認知症ケアに関する主な資格

適切な認知症ケアを実践するには、正しい知識と専門的なスキルが必要です。知識やスキルを身につけるには資格を取得するのが有効です。ここでは認知症に関する資格をいくつか紹介するので、興味がある人はぜひチャレンジしてみましょう。

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